6-5.クリエイティビティを価値に変える知財権

コンテンツ孤児を無くそう
工場  今回どうしても議論しておきたいのは、情報価値に付いてです。情報価値という視点で言うと知財権戦略をしっかりしなくてはならない。プロダクトデザインとソフトコンテンツデザインは、その管理の仕方がぜんぜん違う。プロダクトデザインはだいたい経産省が中心になって作った意匠法で保護をしている一方、先ほどのサブカルチャーも含めて、ソフトデザインやコンテンツになると、意匠法ではなく、文科省管轄の著作権です。実際デザインビジネスをしていて大きな問題となるのは、私の独特の言い回しかもしれませんが、「孤児作品が利用できる仕組みと」「孤児作品にならない仕組み」を作る提案をメガロポリス構想に描いています。どういう事かと言うと、誰が権利者か解らない素晴らしいコンテンツがいっぱいある。誰から許諾を得て使ったら良いかわからないから、使えない素晴らしい作品がある。これは使いたい企業にとっても作者にとっても、社会にとっても極めて不幸な事である。そしてその作品は価値を生まないで死んでいく。  
 若い人たちの作品っていうのは、ほっといたらみんな孤児作品になってまう。それをきちっとある仕組みで戦略的に著作権が守れるような仕組みで価値に変えて行く仕組みが必要です。音楽の様に。著作権というのは発表した瞬間に著作権が発生しますから、その日にちとその管理さえしっかり出来れば、資産になって行く。

クリエーターは知財権エンフォースメントを働かせ
工場知財権のエンフォースメント。要は、せっかく知財とってんのに、それを行使できない権利。もしくは一番いじめられたのは、アメリカなんかでね、使ってない知財を全部、ある会社が、管理会社が買ってしまって、もしくは権利を行使する権利だけを買うとか譲り受けるとかして、それで、世界中の有名な会社を攻めまくると。で、それで億っていうお金がどんどん出て行くんですよね。で、そういうことって日本人って何もできてないなぁと。特に、こういうクリエイティブ産業という事になってくると、この知財権戦略っていうのが、ものすごい重要なテーマになってくるんちゃうかな。と。だから、今までの意匠法とか著作権法とかこれも、なんでかしらんけど文部省と経産省に任しっぱなしで、変な話になってるんですけども。こういう所も、うまい仕組みさえ作ってやれば、クリエーターやデザイナーがきちっと生きていく糧ができていく可能性があるのではないかなと思うんですよね。

日本の知財権保護の仕組みはコストが高い上デタラメ
工場アジア統一意匠法っていうのができるとアジアの体制って大きく変わると思うんけど。ヨーロッパはすでに統一意匠法をやってる。アジアはできないっていうのはなぜか、調べて見ると、かつてアジアを統一意匠法を作らないかと発案したのは中国で。日本がそれを断ってるんです。そういう歴史がある。
 日本では28万円から30万くらいかかる。中国では意匠登録しようと思ったら。韓国についても、資本金額に基づいた、毎年更新するシステムで、低い所だと7000円か8000円でできる。でも、日本は27~8万かる。弁理士という職業を支えていくために必要な金額でもあるわけです。ここに大きな問題がある。ギリスがソフト産業化構想の時についにそこにメスを入れた。いわゆる、デザイナーとかプロトタイプとか外に出て行くものに対して支援しましょうっていう仕組みを作ってしまって、一番足かせになるコピーの問題、海外で展示会出たら絶対発生しますので、プロトであっても。それに関してイギリスの国が権利確保をしてくれる。今、日本でそれができてるのは東京都だけですね。東京都が一部その制度を使って支援してくれてますけど、大阪は出来ていない。
 もうひとつはよく出る話ですが、今の電子図書館の問題です。電子図書館っていうのはある意味情報の垂れ流しなんです。日本国内で特許とってますよって言う事が、公開情報として流れるわけですね。で、実はアジアではまだですよ問っているのと同じで。商標にしても、マドリッドプロトコルの協定国、あるいはそれに加入していない国全部含めてまだ全部とってませんよっていうのを公開している事になる。しかし、インターネットですから、世界中が見れるわけです。それを常に観察していて、自国で、それを知財として確保するサービス業が中国で流行流行っている。例えば、例を挙げるとアップリカというベビーカーありますと。そのベビーカーの商標を日本国内で取り、電子図書館の公開情報に勝手に載ります。それを中国のベビーカーメーカーが委託した、常に電子図書館を見張ってる事務所があり、その情報が出るとベビーカーメーカーに対して、これ取りますかと営業を掛ける。中国のベビーカーメーカーが取っておきますと言ったらすぐそのままの情報を中国で出願して取れるわけですよ。まだ、中国で出願できてないのはね。今度それを知らずに、日本のコンビとかアップリカ輸出すると、そしたら差止めになるか、泳がせといて一年後に賠償請求する。これが一番問題の問題です。
 これは便利資料の問題ではなく仕組みやと思う。仕組みを変えれば弁理士さんも十分な収益を得ながら、登録ができる可能性っていっぱいあると思うんですね。
知財権の問題は、ポスト産業化時代は製造業は世界中あっちこっち賃金格差を求めて流浪するわけですから、永遠に続くわけですよ。そういう意味で、知財権でエンフォースメントを働かす仕組みっていうのは、 本当に重要で、早いこと戦略的に再構築しないと、今後日本が知財、いわゆる知的産業化をしていく中ではどんどん無駄なお金を垂れ流していく可能性がある。
 知財権に関して、デザイナーやクリエーターに法的なことであるとか、経済活動であるとか、の教育が殆ど出来ていない。それも大きな問題で、それをフォローアップする仕組みも必要では無いか。今のデザイン教育の学校でそういうこともきちっと教育する必要が有る。一部の大学では商法もしっかり勉強いますが。概ね、其の様な教育はほとんどされていない。労働集約型の産業は賃金格差を求めて日本から出て行くのだから。知識集約型にへ変わって行かなきゃいけないし、それを支える知財権の仕組みや、デザイナーとかクリエーターのあり方っていうのは知財が資本であるという残業構造を創造しなくてはならない。


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