7-6.デザインと経営

デザイナーに経営センスを
 シャープにいた時の事ですが、課長部長くらいまでは経営という事をあまり知らんでも大体、仕事はできたんですよ。クリエータとして頑張ってれば大概できた。ところがそれ以上行こうと思ったらやっぱり経営の事も勉強しなきゃいけないし、シャープでもある意味MBAの授業もやらされるんですよね。 課長以上はそれをクリアしないとなれないんですよ。今の社会っていうのはそこまでいかないと一つの資格を取れないんですよね。そうすると今先ほどの議論の原点に戻って、デザイナーとかクリエーターと言う人はクリエイティビティはものすごく高い、でもそれを資産として運用する事ができない。ここに一つの問題がある。でこれを再教育と言ったら語弊があるかもしれないけど経営とかそういうところまでちゃんと理解できるような、特にいまの20代30代ぐらいでデザイナーとして頑張ってらっっしゃる方にそういう事を勉強してもらう必要がある。

経営にデザイン手法を
 デザイナーに経営センスが必要という話が出ましたが、逆の動きで経営分野の教育にデザイン手法が入って行っていますよね。ここにDスクールの話が書いてるんですけどDスクールっていうのはもともとスタンフォードがやり出したんですけども、今各大学でけっこう話題になってます。2006年位から始まってるんですけどもスタンフォードって大学は、ものすごい高い。日本の大学の授業費が問題にならないくらいものすごく高い学校なんですね。そこでデザイナー育てても逆に意味がないんですよ。たとえば5000万投資してたとえば今世界中のデザイナーが儲けているレベルの世界へ行こうと思ったら無理なんですよね。せいぜい数億の事業、そういうレベルしか行けない。 ところがスタンフォードが育てようとしている人材はそうじゃなくて、何千億の企業を動かす人材をそだてようとしている。そこで、なんでデザインかというとそういう人たちにデザインの思考を入れるだけの話で、デザインのメソッドを教えているわけじゃないんですよ。日本のデザインを主体としている学校はスタンフォードのそれをひっぱってきてDスクールみたいなそういうのは全く意味がない。今Dスクールが導入されている学校なんですけども九州大学、京大、それから京都工繊、この中にもデザイン学科が入ってるんですけども僕の発想ではバカたれと思っているんですね。 逆に経営とか工学とかそういうもっと違う社会をリードする人たちににデザイン思考をどう放り込むかと言うのがもともとの考え方であったんですけども、どうも日本に入ってくるとちがってきてるなと。LGの副社長になってる人っていうのはKAISTを出て来てるんですけどそこでやっているのは他の勉強をしっかりしたうえでデザインの思考を入れて行こう。そしてそういう世の中はデザインの思考を入れなきゃいけない経営者を育てるっていう動きともう一つデザイナーに経営の事を勉強させなきゃいけないという動きの二つが一つの流れになって来てるんですよね。

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