8-5.未来の神戸を描いてみる

台湾の動きを参考に行動に移そう
 夏に、台湾金属センターのお招きで台湾に行ってきたんですけど、基本的に台湾はODM、OEM、EMSで産業が成り立ってた。それで中国で工場を移してさらに大きなOEM、EMSで産業が拡大してきました。ところがこのままでは先が無い事に台湾企業が気付き始めています。そして、クリエイティブ産業を育てないと動き出している。台湾のやり方は、伝統文化から、あらゆる可能性をクリエイティブ産業ということで産業に育てようしている。ちょっとこのやり方日本の方法とは違いますが。日本みたいに考えて考えて、何もしないよりマシかもしれない。若い子達が、今までにない産業をやってみと様々なアプローチをしています。それを政府や大人達が応援しています。日本は就職率悪い悪いといっても、アジアの中でまだまだ健全で、台湾でも就職はむずかしい。其の様なこども達が4〜5人で起業して小さなビジネスを色々やり始めている。例えば政府支援のクリエイティブモールを使ってショップを創らせ資金も出す、これは台湾政府がしているが、それを市民が買って生き残った者が産業になっていく様な方法です。ちょっと荒っぽいやり方なんですけれど、新しい産業を作っていくには、しかも知的生産的なクリエイティブな産業を創って行くには一つの参考になります。  これまでの議論に鑑みると、神戸の重工長大がまだ力の有るうちに、神戸市民力と、神戸のブランド力っていうのはまだ残っているうちに、頑張って行動を起こすベキです。批判しましたけども、関西でビエンナーレやってるところは無いし、皆で世界規模に、立派な観光資源に育てましょう。

デザイン都市宣言の行きさつ
 神戸市民は常に新しいものを受け容れて行くっていう風土が有る。今神戸で様々な事業の旗を何本か立てて行いけば、関西の中で特異なクリエイティブ都市が見えてきます。デザイン都市宣言をしようと思ったのかその行きさつを教えていただけませんか。 工場  
とにかく都市を取り巻く環境と言うのは厳しくなってます。もう日本全体で人口減ってる。産業の空洞化もある。そうなった時、どうやって生き抜いていくのか、何か知恵を出し合って行か無ければならない状況にあった時、それと、やはり震災と言うのが一番大きかった。震災があって10年くらいは元の形もどすのが必死だったわけです。それだけじゃいけない10年くらいたったときに、どういう未来の形にするかというのが必要だということになったんです。じゃあどう描くかと言うときに、さっきの港町として栄えた神戸が神戸らしさだねと思いました。それをもっと砕いて考えて行くと、神戸っていったいなんだろうかっていう、情緒あふれる街並みやったり、ちょっとおしゃれな暮らしやシューズとか、なんでこんなん生れて来たんやと全部玄関があったからなんです。そういう技術とか文化が入ってきて、それ等をうまくアレンジをしていくっていうのが神戸だなって。 もう一つ、震災を経験したというのがあって、これはちょっと神戸の人もだんだん忘れて来てると思う、なんでこうやって復興してきたかというとやっぱり人とか絆というじゃないですか。そういうのが人にすごい力を与えるなって。人のためにとか、人を思いやるためにするとは、そういう風に考えて行ったら共通したキーワードとしてデザインと言う言葉が出て来たわけです。港町としてアレンジしてきた人と、思い至る事を大事にする町と言う風に考えたら、デザインと言うキーワードがでてきて、デザインと言うのが一番ふさわしいんじゃないか。これから、これで神戸の街を考えて行こうと言う事になったんです。それで、その宣言をしたもののに認められるかどうかも解らずに、ユネスコに申請をして認められた。これがちょっと奇跡なんですが。ユネスコの創造都市ネットワークと言うのは、7つの分野があって、音楽であったり、小説であったり映画であったり、いわゆる創造的産業の特徴的な場所があれば、選ばれる訳です。映画産業が有名だとあなたのところ映画で選びましょうと言う具合いに。 デザイン、さっきも言いました様に、神戸ってデザインがめちゃめちゃ飛び抜けてすごいとか、盛んなことは無いんですけど、いわゆるこれからの思考ですね。デザイン思考をもってこれからの街をよくしていこうという考え方にユネスコが認めてくれました。  それで神戸デザイン都市っていうのを認定を受けたわけなんですね。そういう大きな旗印もできました。デザインってなかなか難しいじゃないですか。一言で語れない。でも二言目に「デザイン都市なんやろ?ならこんなんしたらいいちゃう」とか「こうしようよ!」とか思考が生まれてきますが、それがやっぱり大事なんですよ。そうやって行く事によって色んな人たちが色々な事ことを考えて行く、そして行動を起こしていくことになっていく。そういう期待感もあってユネスコに認定されたことがプラスになり、進めています。さらにいうと、デザインは一般の人たちにとっては、デザインってものをきれいにしたら?デザインで可愛くしたら?とそういう風に、形になって来るんですけどそれを生み出すまでのプロセスそれをどう考えて行くかが大事だと思うので、それを夢物語かもしれないですけど、市民145万人全員がデザイナー思考をもてたらすごく大きな力になる。要するに生活ゆたかにするために市民がいろんな気づきにする。それを産業にしていくいろんな人がいるようなそういう好循環でまわしていく、そんな都市にしたい。

クリエイティビティの高い市民創り
 まさにこれですよクリエイティビティの高い市民創り。たぶんその素地はあると思うんですよね。今までの議論のを聞いてみますとあたらしいものを受け容れるとか、それから生活に対してそれなりに楽しみとかおしゃれとか、はるかに大阪の人ごめんねなさい。大阪より市民のデザイン度は高いと思うんです。  そのなかで課題として感じたのは、デザイナー何人おるねん?、アーティスト何人おるねん?と。ここに大課題があるような気がする。デザイン都市として世界に認められてるロンドン。これ実はこれも関西文明倶楽部の中で披露して議論したのですが、  ロンドンのデザイン事務所って10人規模のデザイン事務所でも、ナショナリティが8ヵ国とかね、6か国とか。英国人だけではなく様々な国のデザイナーがあつまっています。確かにロンドンはデザイン都市やなと思うのは沢山のデザイン事務所が有り、多くの有名企業のデザイン開発拠点が集積し、小さな10人規模のデザイン事務所でも1000万,2000万の規模の仕事を日常的にこなしている。ロンドンはそれぐらいのポテンシャルもってる。神戸もそこまで展開出来れば凄いと思います。外国人が集まる要素ももってる。それから、それは施策やとも思います。外国企業のデザイン拠点として、アジアのデザインハブとしての外国企業やデザインオフィスの誘致まで視野に入れて。アジアでデザイン都市って言われているのがシンガポール。シンガポールは世界の有名な会社のアジアデザインブランチがいっぱいある。国際都市ってブランドがあったら、そこに外国のデザイン事務所を誘致する。もう、日本人を集めるより、外国のデザイン事務所を誘致する施策があったら、市民の民度も高いし、条件はそろっていると思います。あとはどれだけどデザイナーとクリエータをあつめるだけのステージが作れるかどうか。そんな事になればすごい面白い町になる。市民一人一人がデザイナーか、みたいな世界ができるではないか。  友人のフィンランド人に聞いた話ですが、日本の人はこのデザインは誰がつくったかっていうのはだれも知らない。でもフィンランドでは大概のものはこれは誰がデザインしたものかってのが分かってる。そういう市民が育ってる。ほんとにそういうことを目指していくべきだと思ってる。  デザイン都市としてその名前はしってるっていうのは、デザインにリスペクトがあるからですよね。そこにデザインに対する価値が認識されてるからだとおもうんですよ。無意識というか意識してないというのはまだデザインに対する意識が低いんだと思う。そこをやっぱり高めていく必要があるやろうと思う。  そういう事か暮らしを豊かにしていくと言うようなことを、こどもの時から身に付けていくような教育が神戸で出来たらいいなおもいます。 すなわち、クリエイティビティの高い市民創りですね。元々神戸市民は生活センスのレベルが高いと思う。そこに市民講座みたいなのがいっぱいあって、プロのデザイナーがボランティアでインテリアに付いて市民講座開いたり。色々なデザイン協会があるとおもうので。その人たちの協力を得た市民講座もあり、中学生講座もあり、まあ高校生っていうのは勉強一生懸命やらなあかんけど、高校生の1、2年の書道の授業のかわりにちょっとデザイン講座いれてみるとかなんかそういうことで、神戸の市民はデザインに意識が高いしレベルも高いと言われる様に。其の様ことをを本気で集中的にやったら面白い結果がでる。結果その中で産業が見えてくるかもしれない。


行政の力ではなく市民の力で町づくり

 意識高い市民の力による町づくりが必要です。町の様子がセンスが良くって、神戸らしいと、ずいぶん日常が変わってくると思う。まだ神戸の街中のファサードがホントに素敵なところがいっぱい有ります。センスの良い店のファサードが、京都よりも、大阪よりも、神戸にあるんです。一方全国に有る様なファサードも有るので徹底的にファサードを中心に、街並みを神戸らしくセンスをあげていくと素晴らしい街になる。皆さん気づかれてないかもしれないですが、緑とか街路樹の公共の緑のありかたが全然違う、神戸の街、大阪市、他の街を比較して、ぜひまたみてください。街角にススキがあってすごいグレードが高い。それを、行政の規制とかでやると、神戸市民力じゃなくなると思う。だから、神戸市民が自分たちで創る町、それが大事です。それは、学校でデザイン教えててよくわかるんですけどね、元々神戸にはセンスの良い子が沢山いる。そこにちょっとデザインメソッドを教えてやると凄く成長する。だから市民の民度が高いところにデザインのメソッドをちょっちょっちょと散蒔いてやると彼らはたぶん自分たちの街づくりを始めると思う。なんかそういう意味で、幼児から大人まで全部デザイン教育施策みたいな事をやると、やたら変な産業を無理矢理つくるよりも、自然に産業になってくる可能性がある。


真のデザイン都市となる

 都市宣言は錦の御旗として「デザイン都市宣言」をする事は、意識の高い神戸市民の目標になる。今は他の都市と目立って違いは無いかもしれないが、そこに錦の「デザイン都市」という御旗をたててみんな集まってこいと言い放ってしまうと、5 年後、そこへ集まってくるデザイナーやクリエータがいてクリエイティビティの高い人達が生活しやすい街になる。大阪を出て神戸に集まってくるような風土と仕組が出来てくると。ロンドンもなぜデザイナーが集まったかっていうともう、税金施策と教育施策と、それともひとうは各分野ごとのクラスター(デザイン協会や団体)の活用です。この三つの策でデザイナーやクリエーターが集まってきた。計画的に施策や運動を繰り返すと5年くらで、本当にデザイン都市になってしまった。そしてその後、ブレアさんがクリエイティブ産業を国の成長産業としたのでさらに勢いがついて大きな輸出産業に育った。この間のオリンピックの開会式なんかまさにクリエイティブ産業のコマーシャルででしたでしょ。


神戸をクリエイティブ産業都市に・・・Desgined in Kobe

目標をはっきり決めて施策を集中やるべきでしょうそのうちの策として、クリエイティブな市民を創出する教育をしっかりやるのは効果があります。 またその他の策が沢山有ると思いますが、それ等全てを統合して行う事が大事ではないでしょうか。先ほど、神戸って様々な事柄を受け入れる素養があるという話が出ていましたが、歴史がないこのと裏返しだと思う。これが京都で仮にデザイン都市宣言しようとしたら、何を言うてんねんという人が必ず出てきて、私らそのとっくにそんなレベルに達してますよと、言わんばかりに反対されるでしょう。昔、有りましたよね、京都にパリが橋をプレゼントするっていったら。「そんなんいらんわ、うちのほうがレベル高いんや」と言うプライド。  ところが、神戸はそうじゃない。其の様に様々なモノゴトを受け入れる素養と、神戸は歴史的に意図的に、人工的につくってきた。もう一度人工的にクリエイティブ産業を作っていっても面白い。そこで重工長大が弱ってきたらそれに変わる産業として創って行く。やっぱり経済力は重要で、そこで経済のまわる仕組みにしなければならない。今、大阪が一番困っているのは大企業が出て行ってしまったからです。中小企業だけが残されているいてこれらの中小企業を成り立たさなければならない。だから産業転換しないと、大阪には、そういう負の遺産をいっぱい残っている。それが無い神戸は、もっと自由に絵が描ける。可能性を持った都市やと考えた方が良い。それと民度が高いので、本気で、それこそ大阪のデザイナーも京都のデザイナーも神戸デザイン都市にもり立てようと言う動きがあっても良いのでは。ものつくるのは中国で作ろうが、ベトナムで作ろうが、かまわない。しかしクリエイティビティの部分、すなわちデザインと設計とマネージメントは神戸でやる。そんな産業を興す絵がかけそうな気がしてきました。


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