1-2.デザインの再定義/枠組み

JIDA の存続に関わる重要な話かもしれない「デザインとは何か」「デザイナーの社会的意義とは何か」についての論議が行われた。

ユーザー中心のデザイン・・・・デザイナーはいらない?
環境デザイナーの立場から考えると、しばらくするとデザイナーという職業は無くなるかもしれないし、無くなっても良いのかもと思います。その後何が残るのかというと、ファシリテータというか、使い手がどんな生活をしたいのかを探り、そのためにはどのような空間や物が必要なのかをうまく導いてあげること。突き詰めると、ユーザーから上がってきたアイデアをきちんと形に作り上げるのがデザイナーと言われる人の仕事かもしれません。

デザインの原点・・・・生き延びる為のデザイン
デザインとは本来自分の生活の一部であり、生き延びるための手段でした。debris今では社会が進み仕事が細分化され、自分自身が米を育ている訳ではなくても、回り巡って自分の手に入れる事が出来ます。 我々は社会の仕組みの中で、たまたま職業として、企業から給料を得ながらデザインをしている訳です。しかし先に述べたように、デザインをする目的は自分たちの命を長らえるためであって、本来、現在のような利益を生むためのデザインではないのでしょう。もう一度、原点に帰ってデザインとは何かを考える必要があります。

モダニズム社会から生まれ、ポストモダニズム社会では?
デザインという概念が成立してきたのは近代、すなわち産業革命以降の産業資本主義社会の成立に伴って生まれてきた産業資本主義社会的概念で、その産業構造がポスト産業資本主義社会(ポストモダン)に入った今、その在り方やデザインの定義が変わる必要があります。また、デザインの枠組みはモノ創りの枠組みを超えて拡大し続けています。これまでのデザインの枠組み(インダストリアルデザイン、環境デザイン、インテリアデザイン、インフォーメーションデザイン、UI デザイン・・・)はモダニズム社会の産業構造から生まれた枠組みであって、社会構造や産業構造が大きく変化している事から、デザインの枠組みも大きく変化しなくてはなりません。この枠組みそのものを愚直に議論する必要があるのではないでしょうか。

IT 革命がもたらしたデザインのパラダイム変化とは?
先ほどモノの消費から情報消費社会についても議論されましたが、デザイン開発環境やデザインの対象が情報機器(コンピュータネットワーク)がデザインの対象や開発メディアとして当たり前のモノとなって、デザインの枠組みが解らなくなってきているのも事実です。 先の議論であった様にGUI デザイン開発は何も物質は使わないすべて01で表現出来てしまいます。lanしかも全てのデザインは、自分で恣意的に決めないと(機能は形の手がかりに成らない)形になりません。さらに言うなら、IT 機器は入力装置と記憶・演算素子と、表示素子、通信素子、センサーの組み合わせで、モノの在り方は、どんなシステムやサービスをする(サービス構造のコンセプト)かがその在り方を決めます。デバイスや機能には表現や形を想像する為の手掛かり全くは無ありません。また開発現場、生産、オペレーション現場においても今やコンピュータやIT サービスは必要不可欠になり、グーローバル化(金融のグローバル化、水平分業化、オープンアーキテクチャー化)デザイン開発の在り方も大きく変化しています。

産業構造変革とデザインの役割は?
これまでに議論されていることは、世の中が変わっているのに、デザイン界が変わっていないということかもしれません。先ほどモダニズムとポストモダン社会という話がありましたが、明らかに社会はどんどん変化しています。ポストモダン・グローバル化・金融の自由化・IT 革命・知識資本主義社会など、様々な言い方がされています。皆が同じことを言っているような気がします。とにかく、社会構造が大きく変化し、これまでの理想や理念だけでは通用しなくなっています。そんな中にあって、デザイナーはデザインの中からしか、モノゴトを議論していないのではないでしょうか?社会構造の変化と同時にデザインの在り方を議論する必要があります。
 そろそろデザインは産業から、デザイン産業として自立をする時期ではないでしょうか。英国では、デザインは工業や商業という産業の枠組みではなく、クリエイティブ産業・知的情報産業として展開し始めています。もちろん他の産業とも密接に関係していますが。

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