2-1.デザイナーは必要か?

前回(第一回関西文明倶楽部)からの説明
コーディネーターの奥田充一から前回(第1回関西文明倶楽部)の議論とあらましの説明をしました。前回はJIDA倶楽部運営委員の方から話題提供として以下の4点を提示しました。
(1)物の消費と情報としてのデザイン
(2)英国政府のクリエイティブ産業としてのデザイン
(3)ローマ倶楽部の成長の限界
(4)モダニズムからポストモダンへ-構造主義ポスト構造主義の時代に我々は
   何をするのか?
(5)文明が理性だけではどうにもできない時代へ

そして議論の結果、次の4つのテーマに集約しました。
(1)物の消費への葛藤
(2)デザインの再定義と枠組み
(3)デザインへの期待
(4)デザインの存在とイデオロギー

議論のあらまし
デジタル時代になって、デザイン開発に関わるテクニカルな手法はソフトウエアー化され、一見誰でもそれなりの造形が出来るようになりました。それ以来、プロフェッショナルは本当に存在するのだろうか?という議論が起きています。またそのことにより、いわゆるデザインの職能とは何かという議論もありました。mouseまた、UXデザインの展開と共に「ユーザー中心のデザイン」の概念が提唱される様になりましたが、もうデザイナーはいらないということにはなりません。冷静に考えると、ユーザーが手にするモノというのは、ユーザー自身が生み出せるものなのか?という疑問が生まれます。
私達、人間は元来クリエイティブなものであり、使用者が自ら使う道具のクリエイターでしたが、その創造するメソッドが集約され、分業化とその連鎖が今日の文明社会を築き上げてきた歴史を持っています。
一方で近年、生活者にフォーカスが当てられ、デジタル化に伴うUXデザインの出現と共に、ヒューマンセンタードデザイン(人間中心設計)の概念が生まれてきました。
これは、先ほどの文脈と違っていて、生活者そのものがプロダクションできる、クリエイターである、ということとは全く違う概念です。


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